さよならの死

冷たく光る太陽のようだ

くすんでいった赤い糸


ジャニーズWEST小瀧望くんが、彼女に送ったとみられる動画が流出した、らしい。

仕事の休憩時間にちらっと「小瀧やらかしちゃってー」などのツイートを見ただけなので、わたしはその動画を確認していない。そもそも確認「しにいく」のも変な話なので、ことが収まるまで、わたしは小瀧くんかわいい、とつぶやくことに専念するかーと思った。(その数時間後SMAPさんが大変な事になり自分のツイートが大荒れすることを、この時のわたしはまだ知らない)

小瀧くんはわたしの担当で、こういった類のツイートを見て、ショックを受け……………ることはなかった。
わたしの中で「ジャニーズ」が「趣味」になっていることを実感した。

KAT-TUN関ジャニ∞を好きだった時のわたしは、それが全てで、それしかなくて、ジャニーズがなくなったらわたしも死ぬ!ぐらいのちょっと痛いヲタクで、ジャニーズそのものが「生きがい」。
人生を豊かにする「趣味」ではなく、それがなければわたしの魂は朽ち果てるの!ぐらいの。

2年ほどジャニーズから離れていたこともあり、少し目が覚めたというか、いくらお金をつぎ込んだところで、赤西くんのような人もいるし、はたまた女の趣味悪いよ…と言いたくなる相手と付き合う大倉くんだっている。

ようは、「面倒を見てくれない」のだ。

こちらがどれだけお金を貢ぎ、もしその人が病気でもしようものならものすごい勢いで心配をしたところで、向こうはこっちが風邪をひこうが癌になろうが、はたまた死んだところで、耳に入らない。

数年前のわたしならわかってはいるけど!でも!みたいなことを述べたのだろうが、去年あたりから、「そーーーーんなことはわかっているからさっさと看取ってくれるまで共に生活できる(妥協できる)相手と結婚するか、もしくはこのまま独身でジャニーズを趣味として極めるならそれ相応に稼げて休める仕事に就かなくては」と思って、実際去年の春に、贅沢しなければ1人で生きていくには困らないぐらいは稼げる今の仕事についた。

ジャニーズWESTのファンは若い子が多い。
というか、精神的に若い子が多い。同い年でも◯◯くんだけ、みたいな人も多いし、年下の学生ですら、オークションやチケット売買サイトで定価以上のチケットのやり取りは当たり前。

ツイッターで、「ジャニーズWESTファンのお友達募集中」みたいなタグで検索をかければ、キラキラした画像と共に「担当に一途な方募集してます(ハートの絵文字)」みたいな一文。

検索をかけるたびに、ああこの若さはわたしにはもうないなあ、と思うと同時に、ほんのり「この子たちは自分の好きなアイドルに熱愛報道なんかでたらどうするんだろう」と少し嫌味なことを思う。

ジャニーズWESTのファンとして、やっていく自信がない。
小瀧くんが好きだ。ジャニーズWESTも好きだ。

でも、わたしは自分の人生を諦めたくない。
できれば彼氏も欲しいし、仕事で昇格もしたい。今すごくお世話になっていて、尊敬している店長みたいに、テキパキ働ける人間になりたい。スタバの新作も出るたびに飲みたい。お金がない、ではなく、お金はあるけど今は使わない、ということを選択できる人生がいい。

定価約7000円のチケット代をオークションで5万円出してアリーナに入って、アイドルに気づいてもらえなかった、なんて泣き叫ぶ人生はわたしには無理だ。
ジャニーズに人生を握られたくない。

でも、人生を握られるぐらいじゃないと、なんとなく「小瀧くんが担当です」なんて口に出してはいけないような、妙な空気。

ヲタクって、こんなにしんどかったかなあ、と思うと同時に、自分自身が老けてしまったことを、実感する毎日である。