さよならの死

冷たく光る太陽のようだ

君を尽きるまで愛して死にたいよ

 

 

こないだ初めて乗る路線のバスに乗った

 

駅と駅を行き来するタイプのシャトルバス、乗車時間10分間。

発車時刻を過ぎてもなかなかこないバスの列に並んでる間に、乗車代の100円を財布からポケットへ移してぼんやり待っていた

 

乗ってから暖房がガンガン効いてるバスにうとうとしていたのだけど、ここで寝たら起きられる気がしなかったので、しっかり起きてなきゃと気合を入れ直す

 

うとうとしていたのにはっと目が覚めたのは、わたしが死にたかった時に死のうとしていたところの下を通ったから

 

歩道橋の大きな大きな十字路を、初めて上から見るわけではなく下からの道を通って気づく

 

初めて死にたくない12月を経験している

 

20歳のクリスマスに死ねなかったことを経験してから、私にとっては12月は恐怖でしかなかった

 

いつも死がそこに横たわっていて、死ねなかったわたしをゆっくり責める

失敗なんかした日は最悪で「あの時死んでおけばよかったのに」なんて夢まで見る始末だった

 

去年前の仕事を辞めて、今の仕事をし始めてからも、未練が全然立ちきれてないせいで、12月の間、夢に見るのは「なんで辞めたの?」「なんで頑張れなかったの?」「死ねてたら責められることなんかなかったのにね」ってもう一人のわたしが問いかけてくるのだ

 

なのにわたし今年は死にたくない

 

うんと日暮れが早くなってもう真っ暗な17時過ぎにイルミネーションがキラキラと輝いていた

 

あの時死にたかったわたしが見ていた世界をバスの車窓から見ることで、こんなに近かったんだなって泣きそうになった

 

そのあと遊ぶ予定があったけど、なんだかずっと高揚感に包まれていたせいで、仕事場へ行く電車を乗り間違えた

それぐらいはしゃいでいたんだななんて思った